静寂を待ちながら

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綾部祐二という男・2

前回はこちらから
http://d.hatena.ne.jp/CultureNight/20120408/1333890722

何度も、何度でも断っておきますが、これはいちファンの妄想です。
問題があれば削除しますので・・。

では、続けます。
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母が失踪した過去を持つ綾部父は、温かい家庭に憧れていた。
その思いは、わたしたちの想像を超える強大なエネルギーだった。


2005年8月29日〜9月4日(リピート放送)
スカイパーフェクTV Ch.100「藤井隆のスカパー!110BANG!」より

「退行催眠」の体験ロケに向かったピース。

退行催眠
催眠状態を誘導し深いリラックス状態になることで無意識(潜在意識)に働きかけ、症状や悩みを取り除いていくというヒプノセラピー催眠療法)の技法の1つです。

退行睡眠とは 睡眠状態で自分の過去にさかのぼり 今 現在の問題となっているものや、原因不明の病気などの原因となった出来事を思い出し、自分の置かれている現状を理解し受け入れ、そして行動をできるようにしてくれます。
http://www.yoides.com/iyasi/1090.shtml 『ヒーリング癒し辞典』より)

通常、退行催眠を行うと、性格や行動上でトラウマになっている原因の記憶が浮かび上がる、とのこと。
又吉さんは「幼い時にみた火事の記憶」が、人格形成に影響を与えたことがあぶり出された。

しかし、綾部さんの催眠セッションでは、1時間のうち40分以上も、母との思い出が語られることとなった。

「母親が、ドアを手をかけて、こちらを見ている」
「悲しい……。一緒にテレビを見たり、掃除をしたり(して仲良く過ごすことが)出来なくて」

母子関係が、祐二少年のトラウマということなのだろうか。
先生も、やや驚いているようだが、又吉さんは、柔らかく、笑いを含みながら「マザコンなんすよ」とフォローしている。

ここに、綾部さんの家庭の姿が、垣間見えるように思う。

母の突然の失踪と、叔父の家で経験した孤独から、「自分は、周りへは出来る限り優しく接しよう」と思ったであろう*1、綾部父。
自身の家庭はとびきりいいものしよう、「理想の家庭」にするのだ、と意気込むあまり、
愛する妻の手を、強く握り過ぎたのかもしれない。
一方、もう片方の手は「プレイボーイ」と呼称されるほどに、多くの女性を求めていた。

妻は、跡がつくほど強く握られた自分の手に幸せを感じつつも、
それを離さないまま、さらなる愛を求めてさまよう夫の後姿を見つめ続けていた。

そして、祐二少年は、父の背へ、愛と悲しみがこもった視線を注ぐ母を、ずっと見ていた。

母に、僕も見ていてほしい、認めてほしい、と強く願い、気を引くために「掃除や洗濯」を手伝っていた祐二少年が、このセッションから透けて見える気がする。
又吉さんに「むちゃむちゃ優秀なキャバ嬢みたいなやつ」「特技・人間関係」と言わしめるような、たぐい稀なる気働きは、
こんな幼少期に形成されたのではないだろうか。

かつて、女優・大竹しのぶさんは、「女優っていうのは、『もっと私をみて』って言っているような職業なのよ」と言った。
綾部父も、綾部母も、祐二少年も、同じことを思っていたのかもしれない、との考えがよぎる。
強く深く、狂おしいまでの愛情によってつくられた、ひとつの家の物語だ。

あくまで、綾部家は幸福な家庭だ。
祐二少年は、父がコーチを務める少年団で野球を始め、高校まで継続した。

また、「うちの父ちゃんは出たがりだから写真とかも全然OKだけど、
母ちゃんは嫌なんだって。『祐二が売れても絶対出ないからね』って言ってる」
などと言いながら、*2
実際にピースのテレビ出演が増えてくると、番組に若き日の自分の写真を提供したり、
電話出演をしたりしている。
己の気持ちはさておき、息子のためなら、という母の優しさ、そして深い愛情に他ならない。

そのせいか、綾部さんは、自身の闇に無自覚で、少なくともこの時点では気が付いていないように見える。
ここに彼の芸人性、ある種のクレイジーさがあると思う。

又吉さんも、エッセイなどで自分の親子関係について、語ることが多い。
厳格な母と風変わりな父との生活は、独特の発想力を育て、また文学に親しむことでも自我を育んだ。

綾部さんは、カナリア安達さんに、
「躁は治るから病院へ行け」
「お前が家でぐったりしてなければ病気だ、と『POISON GIRL BAND』の阿部とも話している(実際は家で布袋寅泰のDVDを観ながら本人になりきって歌っている)」*3
と言われるほど、陽気な性質だ。

また「とにかく待つのが嫌い。その時間で他のことができたかもしれない、例えば『この20分で伊勢丹にいけたじゃん!』などと考えてしまう」*4と語るように、非常に行動的である。

絶え間なく動き回り、人を笑わせ、快活に過ごすことが、彼の心に潜む何かを癒し、支えているのかもしれない。

消えた母の代わりを求めて、さまよう綾部父。
目の前の愛を求めて奮闘する、祐二少年。
通ってきた道や環境は異なるものの、同じ行動をしているところが、何とも親子らしい、といえる。

ちなみに、綾部家の先祖は大名の傍に仕え、お手玉やさまざまな芸を見せて楽しませる『芸人』だったそうだ。*5
血とは、本当に不思議なものだ。

*この収録が行われたのは、番組内の綾部さんの発言から、2005年8月10日、単独ライブ『ジェシカ・パンディ』(新宿シアターモリエール)の前日と推測できる。

今日はここまで。
もう少し続きます。

3はこちら→http://d.hatena.ne.jp/CultureNight/20120423/1335140091

*1:2011年7月10日よしログより

*2:2009年、ピースのシチサンライブ(日時不明)より

*3:2009年4月15日「笑イジングサンシャッフルトーク カナリア×ピース」

*4:2009年9月28日∞ラジオ945『ピースの親孝行がしたい』より、後日よしもとモバイルサイトにて配信

*5:2009年4月20日品川brog『DNA』より http://shinagawa.laff.jp/blog/2009/04/post-a89f.html