静寂を待ちながら

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5/23又吉直樹「火花」ブックトークご報告(レジュメ付き)

こんばんわ。日差しが日に日に夏へ向かっている今日この頃、みなさまいかがお過ごしですか?。私は今日、浮かれて髪を切ってきました。お調子者の季節到来!ありがとうサマー!って感じです。これから3か月ほどビールを飲みまくり、かき氷を食べまくり、BAKAになります。…あれ、いつものことか。

…………

さてさて、2015年5月23日、又吉直樹「火花」ブックトーク、なんとか無事に終了いたしました。
取り急ぎ、当日つかったレジュメを公開します。↓

                                                      2015.5.23
                                                  くすみ書房大谷地店2F BookBird
                                 又吉直樹「火花」ブックトーク
「火花」誕生の経緯と推移
又吉直樹さんについて
1980年大阪府寝屋川市生まれ。お笑い芸人。コンビ「ピース」として活動中。
作家活動:原点は「大喜利、一発ギャグ」。のちに脚本、自由律俳句も。

「火花」出版の経緯
*2012年、文学フリマにて、「文藝春秋」編集者と出逢い、別冊文藝春秋に自伝的小説を掲載。その後、「文學界にも…」と持ちかけられ冒頭20枚?を提示、掲載に至る。
*「文學界」初の増刷(計4万部)、単行本35万部。三島由紀夫賞候補作にもノミネート。

あらすじ

売れない芸人の徳永は、熱海の花火大会で、先輩芸人である神谷と電撃的に出会い、「弟子にして下さい」と申し出た。神谷は天才肌でまた人間味が豊かな人物。「いいよ」という答えの条件は「俺の伝記を書く」こと。神谷も徳永に心を開き、2人は頻繁に会って、神谷は徳永に笑いの哲学を伝授しようとする。
お笑いの世界の周辺で生きる女性たちや、芸人の世界の厳しさも描きながら、驚くべきストーリー展開を見せる。(本の話WEB「火花」特設サイトより抜粋)

作品の背景

≪「原偉大」という男(同級生、前コンビ「線香花火」相方):破天荒で純粋≫
ポップカルチャーの影響:ブルーハーツくるりetc.邦楽ロック、
*2000年代お笑いブーム:「ルミネtheよしもと」創設、NHKオンエアーバトル
*芸人のプロレタリア的生活:借金・ギャンブル・女、先輩への傍若無人ぶり
(著書「東京百景」からの引用)

文学としての価値
*文壇の評価「最高の処女作である」
*リズム・韻律の試み(情景描写)/自由律俳句のエッセンス(大喜利・一発ギャグ)
*撰択と転換の巧みさ/「急に感情を爆発させる」(井の頭公園で太鼓のお兄さんに出逢う場面 他)
*ふたりの哲学「美しいものをいかに台無しにするか」(真樹との別れの場面 他)
*「神谷」のでたらめさ・矛盾だらけの人物像
(幼い女児への優しい対応、赤ちゃんに対して「蠅川柳」/キャラクターの否定→徳永の「模倣」)
*著者自身の信念「芸人であること」
悲哀に流れすぎず、多角的な目線を保っている。(ラスト、花火の場面 他)

こんな感じです。
前半は作品ができるまでと背景について、後半は作品そのものについてを話しました。

前半のポイントは、「原点はお笑い」「原偉大さんの存在」のふたつです。
又吉さんは「大喜利」「ギャグ」を考えることと、小説の着想を練る行為の根は一緒だ、と方々で語っています。笑いは彼の大切な芯なのだ。
また、原さんと一緒に過ごした「線香花火」の思い出が、この作品の要素としては、もっとも重要だ。ここはあえて断言します。
ファンから見ると、神谷は原さんがベースになっていて、そこにいろんな先輩が合わさって出来た人に見える。又吉さん自身は、直接のモデルではないと言っておりますけどね。ただ、彼が当時好きだった音楽やファッションなどのカルチャー、女遊び、貧乏・借金、また若さゆえの傲慢な行動(カリカの林さんに餃子を投げつけた話とか)、などなどは「火花」の世界そのものである、と明言していました。ここらへんはラジオ*1や、インタビュー記事を参考にしています。

後半は、本文や合評・批評の引用を紹介しながら進めました。
ここに至るまで、又吉さんは短編、掌篇など合わせると4作、小説を書き、脚本、エッセイ、自由律俳句など多岐にわたる著作を出している。でも、彼の処女作は「火花」と言って差し支えないだろう。この小説でかれは初めて自分の文体を獲得したのだ。誰もが知っている言葉で、誰にも書けない物語を作る力を手に入れたのだと思う。

出だしに、全てが表れている。花火大会の下でスパークする若者、という場面選択がすごくよい。エンタメ性の高い、対比的な構造だ。それから、スムーズではないが味のあるリズム感も気になった。
率直に言って、心地よいリズムの文章ではない。定型っぽくはじまりながらも、妙なところで破調になる。時々つまずくみたいな、そのリズムはまだ極まっていない、当然だ、処女作なのだから。でも、きっと磨かれていくことと思う。

(まだ追記途中です。おいおい書き足していきます)

ズブの素人ですが、これが私の「火花」を読んで感じたすべてです。




ちなみに、今回は「火花」にちなんだ音楽を随所でかけました。
開演時には真心ブラザーズ「サティスファクション」(ピースの出囃子)、元相方の原さんのことを話したときには、THE・ブルーハーツ「月の爆撃機」(原さんの好きな曲)、後半が始まるときには、くるり「東京」(又吉さんと原さんのコンビ「線香花火」の出囃子)。
ミーハー丸出しですが、「サティスファクション」で、このイベントを始められたことが、すごく嬉しかったです。

トーク内容はまた、近々追記する予定です。でもこれで大体全部だからなあ…。

当日、終始緊張が抜けず、だいぶふらついていた私のお話を熱心に聴いてくださったお客さま、本当にありがとうございました。皆様の温かさに助けられました。
今回、素敵な場所を提供してくださったBookBird大谷地とくすみ書房、ブックシェアリングの荒井宏明様、久住社長、また一緒にトークしてくださった木村洋平様に改めて、100万回のありがとうを贈ります。
また、遠くから見守り励ましてくださったみなさま、そうでない皆様、全ての方々にも、感謝を捧げます。(タモリイズム)

ざっくり更新で恐縮です。ご静聴ありがとうございました

*1:ABCラジオ「よなよな…」火曜、2015年4月14日、又吉さんゲスト回より。公式HP