静寂を待ちながら

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「詩ウヤカイ」Vol.0

こんにちは。師走ですね。暦の上ではディセンバーです。
先月は大風邪を引き、各方面にご心配おかけしまして、申し訳ありませんでした。
心身ともに流行に敏感な今日この頃です。そうだ、2015年度の流行語大賞も決まりましたね。入賞した「とにかく明るい安村」さん、来年はどのタイミングで服を着るのだろうか。引き続き注目していきたいと思います。

さて、先日、「詩ウヤカイ」という催しを開かせていただきました。11月28日、21:00〜23:00。於:cafe&shop seed。

純粋詩から短歌・俳句、またJPOPの歌詞に至るまで、好きな詩を持ち寄って、わいわい語るという企画。
タイトルは中島みゆきさんの「夜会」から拝借しました。夜なので、もちろんお酒と美味しいご飯つきです。

元はといえば、友人とフジテレビ「久保みねヒャダ」の、JPOPの歌詞を無駄に深読みして楽しむコーナーを真似して遊んでいたのがきっかけです。
その後、素晴らしい出会いがあり、内輪の飲み会のつもりが、いつの間にかがっつりイベントになりました。基本、お祭り人間なので、こういう展開はとても嬉しい。
ご参加いただいたのは8名、私を入れて9名。本好き、詩好き、JPOP好きが集まりました。場所はcafe&shop seed。「本のBAR」に引き続き、ソムリエの菅原明洋さんにお世話になりました。とれたて人参その他のオードブルとパスタ、むっちゃ美味しかった!

今回ご紹介頂いた詩はこちら。膨大です。心してどうぞ。

谷川俊太郎詩集 (ハルキ文庫)

谷川俊太郎詩集 (ハルキ文庫)

「二十億光年の孤独」「朝のリレー」「生きる」「明日」を紹介。
金子みすゞ童謡集 (ハルキ文庫)

金子みすゞ童謡集 (ハルキ文庫)

「星とたんぽぽ」「誰がほんとを」を紹介。
西條八十詩集 (ハルキ文庫)

西條八十詩集 (ハルキ文庫)

「かなりや」「ある大晦日の夜の記憶」「ぼくの帽子」を紹介。
室生犀星詩集 (ハルキ文庫)

室生犀星詩集 (ハルキ文庫)

「初めて『カラマゾフ兄弟』を読んだ晩のこと」を紹介。

竹内まりや 「家に帰ろう 〜マイ・スイート・ホーム〜」 「駅」
槇原敬之 「もう恋なんてしない」
松任谷由美 「Home Townへようこそ」
川嶋あい 「明日への扉」
HY 「いちばん近くに」

以上の詩集、歌詞の一群を通して、時間と空間が連動する面白さ、また生きることの肯定などについて語られました。

夕べ―ヴェーチェル

夕べ―ヴェーチェル

「彼が好きだったのは…」など、アンナ・アフマートワの2編を。ご自身の翻訳とレジュメもご持参、ロシア語による朗読も。
工藤正廣氏による短歌訳の紹介もされました。

大手拓次詩集 (岩波文庫)

大手拓次詩集 (岩波文庫)

「ふりつづくかげ」を紹介。(株)ライオンでコピーライターをしていた、大正〜昭和期の詩人。フランス詩の影響も。
シンプルな言葉から、自由な想像を喚起させる大手氏の名作。

乃木坂46 「君の名は希望」

端的な言葉で季節や主人公の背景などについて示し、世界へ引き込む秋本康の技術力について。
偶然、かつて「康塾」を受講されていた方がいらして盛り上がりました。「ヒットの法則」の裏話も。

徘徊と笑うなかれ

徘徊と笑うなかれ

満月の夜、母を施設に置いて

満月の夜、母を施設に置いて

下記より「この手の長さ」を朗読。藤川氏が体験した介護について、飾らぬ言葉で語った詩集。

万葉集 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

万葉集 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

「朝開き入り江漕ぐなる梶の音のつばらつばらに我家し思ほゆ」(山上臣)を紹介。「つばらつばら」の意味と音の交差の妙。

ムーンライダーズ 「ニットキャップマン」

鈴木慶一など、日本音楽界の巨匠らが集い、実験的な音楽を製作し時代をリードしたバント。
糸井重里作詞の「ニットキャップマン」を紹介。ユーモアと哀愁が交錯する作品。

自選 谷川俊太郎詩集 (岩波文庫)

自選 谷川俊太郎詩集 (岩波文庫)

「新しい詩」を紹介。世界観を転換させる作品。
新編宮沢賢治詩集 (新潮文庫)

新編宮沢賢治詩集 (新潮文庫)

「永訣の朝」を紹介。今の季節にピッタリ。名フレーズ「あめゆじゅとてちてけんじゃ」の、ネイティブアクセントの紹介も。

新古今和歌集〈下〉 (角川ソフィア文庫)

新古今和歌集〈下〉 (角川ソフィア文庫)

「玉の緒よ絶えねば絶えねながらえば忍ぶることのよわりもぞする」(式子内親王
中島みゆき 「わかれうた」

ももいろクローバーZ 「労働讃歌」

上記2編、いつの時代も変わらぬ女の情念について。
下記は大槻ケンヂ作詞。「労働の喜びなんて、いくら叫んでも分からないかもしれない」という発想から。ももクロの闘争心と明るさで歌うとこうなる。

紹介が終わった後はお酒と食事、また歓談を楽しみました。持参の本を回し読みしたり、さまざまな音楽について語ったりと和やかな時間になりましたね。
23時過ぎに解散後も、数名が残ってトークの続きを。全員が帰路に着いたのは日をまたいでからでした。

…………

今回こちらの不手際で、開会が遅れてしまい、皆様にご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ありません。
ただ、内容は参加された皆様のおかげで、とても濃く、充実したものになったと自負しております。

単発の飲み会イベントでしたが、もし需要があればまた開催しようかな、と思っております。希望されるかたはお声掛けくださいませ。
文学を楽しむ場、しかも酒の入った本音で本気のやつ*1、をこれから先も作っていきたいものです。

完璧なおもてなしを提供してくださったソムリエの菅原さん、歌詞の会で遊んでくれたTさん。企画を提案いただいたNさん、当日お写真を撮ってくださったKさん、そしてご参加くださった皆様、本当にありがとうございました!

*1:ゆくゆくは文壇バーの札幌ヴァージョンをやってみたいという野望もあります。