小説と、なにか(販促としての小説)
こんばんは。めっきり秋ですね。天も地も、獰猛なこの頃です。大過ない日常の偉大さを思い知ります。
わたしは最近、公私ともにべらぼうにドタバタです。まあ、そんな中でも本を読んで音楽聴いて、「ゴッドタン」観ればだいたい復活できるので、根が単純なんでしょう。阿呆に生んでくれてお母さんありがとう。
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さてさて、最近やたら「販促としての小説」を目にするので、まとめてみました。
まず、森永キャラメル×角田光代・浅井リョウ。
ご存じ「森永キャラメル」のおまけとして、直木賞作家のお二人が、それぞれ三つの連作小説を書いています。
パッケージに「朝井1」、「角田2」などと書いているので、集めるのは難しくないですよ。
続いて愛しの又吉さん。
「深い珈琲エッセイ付き ブレンディ」
ボトルコーヒーの側面に、又吉さんのエッセイがついています。全部で9作。紀伊国屋書店ではセット販売(栞のおまけつき)もされました。9本のボトルコーヒーを消費するのは大変でしょうが、芥川賞効果もあって良く売れたようです。
蝶が出てくる幻想的なものと、一人の人生をコーヒーで表現した大河のような一作が素敵でした。
そして大本命、「アサヒスーパードライ スーパーノベルキャンペーン」!
コンビニ限定ですが、スーパードライを一本買うと、小説一編が読めるというキャンペーン。ビール買ったら、そのレシートを写真で送るんですよ。なんてアナログな…。
こちらには朝井リョウ、乾くるみ、誉田哲也、山口恵以子、夢枕獏がそれぞれ4連作をおろしています。つまり、4本飲めばひとつの物語をコンプリートできるのです。
そんなわけでこの夏、私の血はスーパードライで出来てるの、ってくらい飲みました。いや、結構人にあげたりもしたけど。(言い訳)
朝井さんの、上手く「アサヒ」を絡めたお話、とても面白かったです。
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美味しいものを食べて飲んで、いい物語を読む。なんて豊かな時間でしょう。
という在り来たりの感想はさておき。やはりこれも出版不況からきた流れのようです。
このご時世、黙っていても本は売れない。ましてや文芸は大変な状況ですしね。で、出版社が飲食関係とのコラボを持ちこんで企画したという流れだと、とある方から伺いました。
基本的に、わたしは小説が好きで、本の虫なので、出版業界が生き生きしていると嬉しい。なのでこういう企画は大応援します。酒が絡んでいればなおのこと。
ただ、抜本的なことをいえば、結局はこの構造不況、流通と書店の関係を「どげんかせんとならん」のですよね。今は切り貼りのつぎはぎでなんとかやっているという状況なわけで。うーん。
これが、一石を投じることになるとは思えないけど、もしかしたら新しい何かを生むきっかけになるのだろうか…。いや…。
何だかシニカルになってしまいましたが、好きなものと好きなものが重なる喜び(小説と酒)を楽しめて良かったです。
しょうもないエントリで恐縮ですが、ご静聴ありがとうございました。