「hand made works」に寄せて
2013年はバナナマン結成20周年、東京03結成10周年。
それを記念した合同コントユニット「東京banana」…じゃない、「hand made works」の公演、いよいよ明日からですね。なんて年だ!
残念ながら私は行けないので、泣きながらはなむけの言葉を綴ります。
…………
このふた組をつなぐ重要人物はもちろんオークラ。
天才にして変態(大根仁さん談)の彼が毎回書き下ろす、それぞれの単独ライブのラストコントは毎回笑いこけます。大好きです。
なかでも一番好きなのは、03なら「修学旅行の夜」、バナナマンは「wind chime」。
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「修学旅行の夜」は、お堅い角田先生とクールな豊本先生、はしゃぎすぎの飯塚先生が、生徒からのあるメールがきっかけになり巻き起こる恋騒動の話。
「wind chime」は、いつも脇役ばかりの劇団俳優・日村さんが「スポットライトを浴びた話」を取材で語らなければならず、劇団の脚本家・設楽さんに相談。日村さんの中学時代のエピソードを聞くうち、意外な事実が発見され…というもの。
03の方はとにかく脚本が美しい。「中指立てるな!」の応酬と展開、「角田しね→しれ」など、細かくちりばめられた笑いが帰結される綺麗なストーリライン。それから、3人の人柄を生かしたキャラクターと関係性の作り方も絶妙。
バナナマンは日村さんの役者力でまず笑わされる。あとラジオでよく語られる変態的エピソードが面白いし、ラストの一見関係なさそうなエピソードが実は全部伏線で、見事に回収されるところもすごく清々しい。
どちらも脚本がていねいに、そして有機的に組み立てられているから読後感が気持ちいいのだ。
それと、私はオークラは当て書きの天才だとも思っている。
2010年9月17日の「バナナムーンgold」podcastはKOC前夜の回で、前年度優勝者の東京03とまだ優勝前のキングオブコメディがゲスト。
そこで、オークラはキングオブコメディの魅力についてこう語っている。
オークラ
『そもそも「コント」というのは、おかしな人が出てきて色々ボケたり、突っ込みを入れたりするのが主流なわけです。
キングオブコメディっていうのは、その主流のコントをやっているわけで(照れ笑い)、と僕は思うんですけど。
その中で、プロとプロじゃない人の違いっていうのは(略)
「ボケている人間が、笑かそうとして言ってんのかな」「そのキャラクターが本当にそれを発言しているのかな」
という、まずそこで差が出ると思うんですよ。
そのときに、「今野」っていう人間は、舞台に立っているとき、本物であり、本当にああいうことを言っているんだな、と感じさしてくれる。
そこに、めちゃくちゃなことを言ってんのに、嘘がない感じがする。』
設楽さん
『台本が見えてきちゃうと冷めるからね。』
これってオークラがコントを書くときに意識していることなんだろうなあと思う。
03もバナナマンも、舞台の上では何か役柄を演じているけど、まったく違う人物という感じはしない。
もうそこには愛しかないですよね。5人へ対する信頼と愛情。多分芸人としても人間としても。
きっちりと積み上げられたストーリと、軸になるキャラの両方を魅力的で面白く仕立て上げられるって本当にすごい。THE 王道の魅力。
そういうわけで、主役はもちろん5人ですが、ここではただただオークラを賛美して〆させていただきます。呼び捨てだけど。
では、きっと「ざっくりお笑い年表」に残るであろう伝説の公演に行かれる方、楽しんで下さいね。
私はソフト化まで首を長ーくして待っています。できればまた10年後にやってほしい。