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マツコ・デラックスは、妄想で語りかける・1

2012年10月3日放送の「マツコ&有吉の怒り新党」で、紹介された怒りメールのひとつに、マツコ・デラックスさんは大きく反応しました。

「私は、啓発本のようなものに腹が立ちます」(24歳 会社員 男性)

いわゆる、経済的・社会的な成功を目指す人への「how to 本」は本当に役に立つのか、という怒りに対し、
「ないって、そんなの(成功法則は)」と前置きをしつつ、マツコさんならではの意見が展開されました。


マツコ
「自分がこれからたどっていく道すら分からないときにさ、人様の話とはいえ、


『こういうことをして、ここにたどり着いて、ここに行って、こうなりました』
ってのを見ていると、それだけで安心できるんだと思うのよね。


目の前に、何も光明がない場合はさ」


そして、御自身が「光明がない」折にしていたのは、「妄想」。

マツコ
「別に自分が具体的に『この人になりたい』とかっていうんじゃないんだけど。


私がやっていたのは、例えば10年くらい続いた妄想があって、
それは、私、テニスプレーヤーだったのよ。


それでもう、世界ランキングとかも毎年ちゃんと出して、全豪オープンとか全仏オープンとかにちゃんと出場して。
まあ、四大大会優勝歴3回で終わっちゃったんだけどね。

(中略)


そこに、きっと私は、何か、依存していたのよ。」


夏目
「でも、その妄想って、別に自分が本当にテニスプレーヤーになりたいわけじゃ…」


マツコ
「じゃ、ないのよ。


(中略)


ずーっとやることがなくて、お金もなくて、ご飯もなくて、みたいなときも、
それをシュミレーションし始めるわけよ。

『あっ、そろそろ全仏だ』とか。
で、対戦カードとかも妄想するわけよ。『あっ、いい組に入った』みたいな。


で、『あ、一回戦』『二回戦』ってこう、やってくと、
朝が来るのよ。


有吉
「だから、何なんだよー!」(笑)


マツコ
「だから、何度も言っているじゃない。
そういうものに依存して、今の現状ってものから一瞬でも、こうなんか…、『逃げれる』のよ。


だから『現実逃避』だったりっていうので、
具体的にそれを見せてくれるとさ、
それを読んでいる間だったり、それを思い返している間は、
自分が成功者になったかのような、妄想の世界に行けるわけよ。


私はだから、実際にテキストとして参考にしているというよりは、
そういう(成功妄想)感情で読んでいる人が、結構多いんじゃないかなと思うの。


だとするんであれば、皆さんに妄想をお勧めするわけにもいかないんで、
私はそれなりに、ああいう本って、悪くないんじゃないかなって思うんだよね。」


確かに、「自己啓発もの」の市場は、
「理想の自分を追い求める気持ち」や「社会的に成功したいという願望」に支えられていると思われます。


マツコさんの推理は、ほとんど正しいといってよいかもしれません。


それにしても、マツコさんの妄想は相当に具体的でした。


彼女の妄想の内に10年以上存在した、「マツコ」という女子テニスプレーヤーが引退するときの話。

マツコ
「いっぺん引退しかけたんだけど、まだあきらめきれなくて、もう1回挑戦するんだけど。
ちょっともう…、結局、ベスト8止まりだったかな。四大大会は。


それで、何かぐずぐずな引退しちゃったんだよね。
何であのときにスパッと引退出来ていなかったかと思って、
今でも後悔しているの。


有吉
「(悪ノリして)でも、そこはさあ、もう1回挑戦してベスト8だったけどさあ、
それはそれで勇気づけられた人もいっぱいいるだろうねえ。」


マツコ
「挑戦するって大事だもんねえ」


有吉
「うん、うん」(笑)


マツコ
「スポーツニュースとかを通じて、多分、
世の中の人に何らかのメッセージは(発することが)出来たなって自負はある」


有吉
「うん、そうだよ」


マツコ
「だから、私、引退したときも、結構非難とかされたんだけど、
ちゃんと『報道ステーション 』と、『ニュース23』は出たの。


筑紫さんと古館さんと、ちゃんと対談して。
その思いみたいなのは語らせてもらったから。


普段スポーツとかに触れない人にも、そういう私の思いにはね、
ちゃんと触れてもらって、絶対何らかのメッセージは受け取ってくれたはず。」


有吉
「そうだね」


夏目
「有吉さん、戻ってきて下さい…」(笑)

ここまでくれば、「小説」と言ってもよいような気すらします。


何故、マツコさんはこんなにクオリティの高い妄想が出来たのか。


それは次回へ続きます。

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