静寂を待ちながら

お笑い、テレビ、ラジオ、読書

本のカフェ×THE BIG ISSUE×MORIHICO.

こんにちわ。「春も過ぎ 夏を待ち」といった時節柄ですが、みなさまいかがおすごしでしょうか。私は最近は、大変に地味な毎日を送っております。酒と泪と男t…、ではなく、宅飲みとラジオとアイドルと本の日々です。ラジオは今、金曜深夜の「浅井リョウ×加藤千恵のオールナイトニッポン0」にはまっております。27時からなので、さすがにリアルタイムでは聞けないですが、通勤時にこつこつと。作家のラジオは描写がこまやかで面白いです。歩きながらこらえきれず、つい吹いてしまうことも。どうしたのこの人、大丈夫…?という周囲の視線も気にせず(ちょっとは気になるけど)、楽しんでおります。そういえば朝井さん、最近「武道館」という、アイドルにまつわる新刊書を上梓されましたね。松田聖子さんからももクロまで、アイドルをこよなく愛するわたくしとしては見逃せません。さっきも食後の腹ごなしで、AKBの「恋チュン」と聖子ちゃんの「天国のキッス」を歌い踊っておりました。…調子にのって、しょうもない報告をしたところで、本題へまいります。

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さて、2015年6月6日、「本のカフェ×THE BIG ISSUE×MORIHICO.」に参加してきました。場所は地元でもっとも有名なカフェのひとつ、「MORIHICO.」系列の「Plantation グルニエ」にて。参加者は主宰の木村さんを含めて10名。今回は年齢層がたかくて、落ち着いた雰囲気でした。グルニエ(フランス語で「屋根裏」の意)は相変わらず素敵だった。この日は風が強くて隙間風が入っていたけど、それすら舞台の演出のようだったな。木村さんの公式詳細レポはこちらです。ちなみに今回の自己紹介テーマは「ビッグイシューと私」。わたしのように、このイベントきっかけでふわっと読み始めた初心者から、地元で運営に関わる人まで、バラエティに富んだメンバーでした。
では本編へ。
今回、前半は主宰の木村さんによるレクチャー、後半は参加者がその場で好きな号を選び、簡単に語るという二部構成でした。
レクチャーは、ビッグイシューの歴史と誌面紹介。特に、日本(大阪)上陸から発展に至る経緯は面白かった。慈善事業でなく「ビジネス」として成立させるため知恵をひねり、広告が見えにくく、デザイン性の高い良質な紙面をつくろうと奮闘したとか、販売者にも「ビジネスパートナー」の自覚を促す売り方を指導するなど、興味深いエピソードがいくつも。また、海外だと映画スターに表紙を頼むと気さくに引き受けてくれるけど、日本だと「(政治的な)色がつく」と事務所が渋ることが多いそうだ。なるほど…。
木村さんの聡明で熱い語りに、みんなすっかり引き込まれていましたね。勉強になりました。

後半の誌面シェアでは、会場の奥にずらりと並べられたバックナンバーから気になる記事を、5分程度で紹介。大きく分けて3パターンだったかな。「本のカフェ」らしい、図書館や映画、古本、アートなどのカルチャー記事に興味を示した方(わたしも)と、「THE BIG ISSUE」回らしい、貧困支援や住宅政策の記事に触れる方、それから「THE BIG ISSUE」の個人的な思い出を語る方。あとは、後半ページの「全世界の販売者を紹介」と、「販売者による人生相談」コーナーも人気だったな。こう書くと、雑誌の力を強く感じます。どの角度から光を当てても輝くことの凄みたるや!

印象的だったのは「年配のホームレスはタフで気概があるが、若者は一度転ぶと立ち上がれない、心的・教育的サポートも必要」という話。社会問題でもあり、個人の話でもあるから、一概にはいえない。でも、差はどこで生まれれるんだろう。成功体験の有無なのか、家庭や親など「育ち」なのか。弱さが悪だとは思わないけど、生きる力ってなんだろうな、と考えてしまいます。もし、自分が同じ立場になったらどうなのだろうな。ちゃんと立ち上がれるかな。それとも。

全員が紹介し終わった後、残った紙面はすべて、木村さんがひとことずつ解説してくれました。「キャプション芸」、面白かったです。
最後には販売タイムもありました。私も最新号と、古本で街おこし…、とか気になる特集の入ったバックナンバーを3部購入しました。MORIHICO.のカフェラテもレモネードも美味しかったし、終わった後のおしゃべりタイムも、あちこちに輪ができて和やかだった。つまり、大満足の3時間でした。

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あんまりここで「色のつく」話はしないけど、誤解を恐れず書いてみます。
「THE BIG ISSUE」、日本上陸時にニュースになり、存在は知っていたものの、今まで実際に買うまでには至らなかった。多分、慈善ということに対する意識の持ち方が原因だ。
慈善活動は私の場合、これまでは各種募金を気がついたときにできる範囲で、がメインだった。あとはサンドウィッチマンのライブに行って、募金対象のグッズを買うくらい。顔の見えない範囲で、軽く、という関わり方だった。ボランティアはほとんどしない。人付き合いの一環でやる程度。
いい機会だから自己分析してみたが、今までの行動には「上から目線」と、「社会貢献しているオラはえらいから、きっと困ったときは誰かが助けてくれるんじゃねえの」っていう、卑小な意識があることに気がついた。だから、頻繁にできなかったんだと思う。自分の傲慢さを突きつけられるから。

「人が人にしてやれることはたったひとつ。自分がキラキラと輝くことだ」って、村上龍吉本隆明&ばなな親子が言っている。自立ではなく自足。言いかえれば限界を知ること。わたしもそう思う。

話は戻るようで展開するが、2015年5月23日の「朝井リョウ×加藤千恵オールナイトニッポン0」の話が刺さったことを思い出す。朝井さんは先日会社を辞め、専業作家になった。で、今、小説を書き本を読み…、と好きなことしかしていない生活に、幸せだけれどおびえを感じるそうな。「こんなに幸せではバチが当たる」「いつかだまされて7000万の借金を負うに違いない」「もしくは不慮の事故にあうはずだ」と。「おお、朝井さんお得意の選民思想がゆがんだ形で出ている!(ほめてます)」と吹き出したけど、そういう幸せを、自分は感じていないから、変な形でどす黒い感情が出るのかな、とすこし凹んだ。そして泣いた。
不幸ではない。いま毎日楽しく生きている。ご飯もおいしいし、仕事もきらいじゃないし、家族ともうまくやっているし、いい友人にも恵まれている。不満を感じる要素は少ない。でも、芯は食っていない。それは外面ではなく自分の責任。この心を、身体を、きっちり引き受けていれば、もっと純粋に行動できるのだろうか。目の前で誰かが転んだとき、ぱっと手を差し出すみたいに。自然な礼儀と愛情をもって。
そんなことを考えてしまいましたよ。あまちゃんですね。うーん、あんな素敵な会の末尾に、突然のくらい告白をすみませんです。ま、偽善でも何でも、行動したほうがいいっすよね。めんどくさいこと、つらつら語ってるよりも。

ま、でもですね、そんなオラの告白なんかどうでもいいです。「THE BIG ISSUE」は、カルチャー誌としてのクオリティが非常に高い。普通に「買い」だ。そして一般書店には置いていないので、やっぱり街まで行かないと!です。*1今回、地元の販売者さんとも知り合えたので、今度新刊が出たら、再会がてら購入しに行きますね。

素晴らしい企画を立ててくださった主宰の木村さん、ビッグイシューさっぽろの矢橋さん、またお会いした参加者の皆様、本当にありがとうございました!今後とも仲良くしてくださいませ〜。次回の「本のカフェ」は7月4日ですって!

*1:行ける環境にある人はね。個人的には通販とか、どこに住んでいても購入できるシステムも充実すればいいのにな、と思います。