静寂を待ちながら

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糸井さんの進路相談〜ほぼおな

珍しく、ちょっと衝動的に書いています。


2013年6月2日、「ほぼおな」という企画が開かれました。

6月2日、16時15分。
NHK総合「ラジオ」というドラマを
Ustreamでの解説付きで一緒にみませんか?


ほぼ日ニュース(5月31日)より


特集ドラマ「ラジオ」(リンク先は公式サイト)

2013年3月26日に放送されたNHKのドラマ「ラジオ」は、「女川さいがいFM」で活動していた高校生アナウンサーのブログを原作に描かれたドラマです。放送後大好評を博したため、6月2日に再放送が決定しました。
それで、ほぼ日と懇意のNHK_PRさんが「もっとこのドラマのことをたくさんの人に知ってほしい」と、ほぼ日にこの企画を持ちかけたそうです。


私ももちろん拝見しましたが、とても素敵なドラマでした。ラストシーンは今思い出しても泣きそうになります。
女川のさまざまな人たち、そこから出ていった人、外から見ている人など、色々な立場の人々の気持ちが繊細に描かれている、大変魅力的な群像劇でした。


で、この日のUstには、このドラマのヒロインのモデルになった某ちゃん(今は上京し大学生に)、糸井さん、脚本を書いた一色伸幸さん、NHKや女川さいがいFMのスタッフさん、ほぼ日のスタッフさんなどなどが出演。


実は90分のディレクターズカット版があるなんていう裏話なんかも楽しかったのですが、
私が最も胸打たれたのは糸井さんによる某ちゃんの進路相談でした。


といってもそんなに大げさなものではなく、「某ちゃんは将来なにをしたいの?」「言葉を使った仕事がしてみたいんです、まだはっきり決めてはいないんですけど」みたいな話の流れがあり、
それに対して、某ちゃんとは家族ぐるみでお付き合いをしていて、いわゆるお父さん的存在でもある一色さんが、
「某は、一度『ふらふら』した方がいいと思うんだよね。それで、(人生経験を積んでから)10年後とかにさ、何か一緒に仕事出来たらいいよねえ、っていってるんですよ。ねえ、糸井さんからも何か言ってやって下さいよ」


と、話を振ったことで唐突に始まったのでした。


間が空いているので記憶はあいまいですが、こんな感じでした。


…………
一色さんから「言葉のプロからアドバイスを…」と振られた後、糸井さんはまずこう言いました。

もっと体をつかったらいいよね。

そうそう、と同意する一色さん。
続けて糸井さんは、某ちゃんへやさしく語りかけました。

言葉っていうのは、六畳間に置かれたレゴブロックのようなものなんだよね。


ブロックを使うといろんなものができて楽しいかもしれないけれど、それは六畳の中のことでしかないんだよ。
だから、そこを飛び出していくことも大切なんだよ。


こんな端的な言葉で真に迫る話をするだなんて…。
さすが名コピーライター。


某ちゃんはブログやラジオを通じて「言葉」の魅力に目覚めたようです。
ドラマの中には「もっと強い言葉がほしい」というようなセリフもありました。


言葉でも音楽でも、絵でも彫刻でも漫画でも、映画でも映像でも何でもいいですけれど、
人が想像力を持って作りだしたものは、ある意味で全てが「六畳間のレゴブロック」なのだと思います。
材料を集めてこつこつ組み立てたり先人の作品を見たりするのはすごく楽しい。
でも、突き詰めると身体の動き、つまりは内臓や五感の動きの中に表現の深層、一番の豊饒が眠っているのですよね。


だからこそ某ちゃんに「書を捨てよ、外にでよう」と提案されたのだと思いました。


それと、何かを作り続けるってほとんど体力勝負だし。


というわけで、さりげなく吉本隆明イズムを伝えた糸井さんに私はものすごく感動しました、という話でした。
心のメモに残しておきたい名言がまた一つ増えました。糸井さん、某ちゃん、一色さんに感謝を込めて。