閑話休題とおまけ
ながながと考えた後に気を抜く、というパターンが定着しつつある。
今回、能の情動キメラを発端にさまざまな表現にふれるうち、ラーメンズと能に共通項が多いなあ、と感じた。
「能面」という象徴的なモチーフは、彼らにとって裸足で舞台に立つことだ。
「だれでもない、ただの男」になること。
箱馬を駆使したセット、モノトーンの衣装もしかり。
彼らのコントは会話劇が多いからセオリーからすれば狂言に近いのかもしれないが、芸術性の高さがどうしても能を想起させる。
むろん、そこを目指しているわけではないだろうが、
世阿弥と小林賢太郎さんは「極めたい」と思った部分がよく似ているのだ。
子どものように、格好いいなあ、すごいなあ、と手をたたきつつわたしは思考を進めた。
素晴らしいもの、楽しいもの、衝撃的なものが世には溢れている。
身を賭してつくられたものたち。
自分はまだまだ未熟だ。知らないことがたくさんある。
だからせめて、縁あってめぐり合えたものへは真摯でいたい。
何か特別なことがしたいわけじゃないけど、一生懸命受け止めたい。
この目で、この耳で。
もっともっとプリミティブでいたい。
洗練していきたい。
冷めたコーヒーを飲みながらぼんやりと思う。