静寂を待ちながら

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スターと裏方(「ナカイの窓」山里世代より)

こんにちは。うちの辺りもようやく「春が過ぎ、夏を待ち(星野源「日村さん42歳バースデーソング」より)という気候になってきました。北国の春は、梅も桜も同時期に咲きます。まさに百花繚乱で美しいけどあほみたいです。そんなにみんなでいっぺんに本気出すなよ、って思います。きっと心が汚れているのでしょう。

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ちょっと前になりますが、2014年4月30日放送の「ナカイの窓」、「山里世代」がおもしろかったです。
南海キャンディーズ山里亮太さんは1977年生まれ。他のゲストは彼と同い年・または同世代の、ピース綾部さん、鈴木紗理奈さん、DAIGOさん、魔裟斗さん、オードリー若林正恭さんでした。そのトークの中で、「この世代には昔みたいなスターがいない」という話になったんです。自分たちのことを「小粒でふがいない」と言い、「何やってんだ世代」と揶揄していました。ちなみに彼らの指すスターとは、ウッチャンナンチャンとんねるずダウンタウン、若くてもナインティナインまでのこと。

芸人に関する意見は以下。書き起こしではなく要約です。

鈴木「ひとつ上の世代(ナイナイ、極楽とんぼ等)には『怖い』印象がある。この世代にはない」
綾部「今、本気で先輩に対して『いってやろう』と思っているやつは一人もいない。どうにか気に入られようとしている」
「細かく計算して、抜け道を探している」
山里「昔の破天荒なテレビを経験していないからコンプレックスがいっぱいある」「あまりにもスターたちのつくった『教科書』がしっかりしすぎている。もう出尽くしている」

どれも納得できます。団塊・バブル世代に腹の中であれこれ思いつつも、何とか取り入って出世をもくろむ中間管理職みたいな。

スターって、「本人の資質×有能な裏方×目効きのファン(アンチも含む)」によって作られると、個人的には思っています。で、山里世代が割を食っている原因って、単純に上がつまっているとか芸人が増え過ぎているというのが大きいんでしょうが、今回は「裏方」にスポットを当てて話を進めてみます。要は、会社やマネージャー、構成作家、各テレビ局のプロデューサー等々、による尋常ならざる協力体制についてです。それはスターには絶対必要なものだから。過去の成功例を思いつくままに挙げてみます。とんねるずならフジの「ダーイシ」こと石田さんや港さん、ウッチャンナンチャンは元フジの吉田正樹さん、ナインティナインには黒澤マネージャーとフジの片岡飛鳥さん。ダウンタウンは最強で、よしもとの大崎社長や作家の高須さん・倉本さん、日テレ菅さんなどなど全方位からの支えがあります。そういう裏方さんがいると何が生まれるかというと「ホーム」です。「おかげです(した)・生ダラ」、「やるやら・笑う犬」、「ごっつ・ガキ使い」、「めちゃイケぐるナイ」などなど。BIG3とか、もっと上の人たちだってそうだ。単独ライブをホームにする芸人は多いですが、それも発展させるためにはバナナマン×オークラのような、深い関係性を持つスタッフが必須です。芸人さんの例ばかりを出したけど、俳優やアーティストも基本は同じですよね。その人を「売り出す」際に命がけで、それこそ「この人となら心中しても本望だ」ってくらいに応援してくれる人の存在なくしては、スターは生まれないと思う。でも、今はマスの視聴年齢層が上がっているから、この世代の感覚を生かしたい!と頑張る人たちが目立ちにくい、あるいは長続きしにくい状況なんだろうなあと感じます。まあ、よく見ていればあるんですけどね、そういう番組も多々。でもマスではないってのが歯がゆいです。で、生き抜くため、マス向けの場をがんばって泳いでいるうちに、小粒感がにじみ出てきちゃうのかもしれない。
あと、「裏方」って言っていいのか分からないですけど、『「カルチャーにお金を出す」ってどういうことなのか問題』も見逃せないと思います。バラエティを見なくったって死なないけど、そういう、「腹の足しになんないものを支える尊さ」を第一義におく広告主って、あんまりいない気がする。今考えたけど、ゴッドタンくらいしか思いつかない。まあ現実は大変だから仕方ないけど、でも、そういいきってくれる会社の商品のほうを、私は買いたい。
いずれにしても、わたしたちにできるのは、応援の声を届けることだけです。「面白かった!」とわいわい騒いでいくことが、ちょっとでも彼らの足しになれば、と心から思います。明日のスターを生み出すのは、俺たち(かもしれないの)だ!急にオンバトみたいになってダサいことこの上ないですが、今日はここまでです。ご静聴ありがとうございました。