静寂を待ちながら

お笑い、テレビ、ラジオ、読書

第3回「本のカフェ」に参加しました。

こんにちは。怒涛の三月を越えてからしばらくぼおっとしていたら、もう4月が終わるではないですか。時の流れは早いのう…と言いつつ、茶をすするみたいな今日この頃であります。

……
さて、前回参加した「本のカフェ」がとっても楽しかったので、また伺わせていただきました。主宰の木村さんの詳細解説レポはこちら。場所はわたしもお気に入りのカフェ「ESqUISSE」にて。

今回は紹介者として参加させていただきました。緊張した…。
紹介者4名、聞き手が2名、そして主宰の木村さんを入れて計7名。前回よりも年齢層は高かったでしょうか。「若い方がもっと参加しても…」なんて話も飛び出しました。確かにさまざまな年代の方々がいらしたほうが、話の幅が広がるかもしれませんね。


では紹介された本たちについてざっくりですが、感想を。
1冊目はこちら。

森と氷河と鯨―ワタリガラスの伝説を求めて

森と氷河と鯨―ワタリガラスの伝説を求めて

写真家・星野道夫さんの遺作で、アラスカ伝わるワタリガラスの神話を求めて旅をした記録。「家庭画報」に連載されていたのだそうです。創世神話にも出てくるくらい、ずっと人類の傍に居続けたワタリカラスとその周辺を生きる動物たち、そして自然…、その一部として生きるネイティブの人たちと丹念に交流を重ねる星野さんが撮った風景に惹かれた紹介者さん。写真はどれも神秘的ですごかったです。それから「自然も文明も否定せずに受容する」という星野さんの生き様についても、熱く言及されていました。旅の途上でクマに襲われて亡くなった、という彼の壮絶な最期は、それを全うしたことをあらわしているのかもしれませんね。背筋がしゃきんと伸びるような、すばらしい作品でした。


次はこちら。

これは自分が紹介させていただきました。持参したのはハードカバーですが、文庫になったのでそちらのリンクを。基本的に彼女は「現代を生きにくいと感じている人たち」を読者として想定していますが、その傾向がより明確になったのが「王国」以降かな、と思っています。まあ、いっつもここで書いている「よりよく生きるとは」とか、「心とは何か→それは身体だよ」ってことを、この物語で表現されている「庭」を通じて話してみたという感じです。
関連として持参した書籍。
心とは何か―心的現象論入門

心とは何か―心的現象論入門

ヒトのからだ―生物史的考察

ヒトのからだ―生物史的考察

「これ素晴らしいから!」と三木成夫さんの本を押しつけまくり、すいませんでした。反省しています。あと、人前で話すのがわたしはむちゃくちゃ苦手なのですが、皆さまの温かさに救われました。ありがとうございました。


3人目の方はこちら。

逃げてゆく鏡 (バベルの図書館 30)

逃げてゆく鏡 (バベルの図書館 30)

ああ、装丁が出てこないのが悔しい…。表紙がとても格好いいんです。ご興味ある方は直接アマゾンの該当ページで見てみてください。「盲目の案内人」が象徴的に描かれています。こちらはイタリアの作家・思想家ジョバンニ・パピーニ(1881〜1956)の短編集で、ボルヘスが編纂に携わっています。パピーニはわたしは初めて知ったのですが、イタリアの現代思想家で、インド哲学の影響を受けた人とのこと。19世紀末って感じですね。また、日本では大正時代にダダイスト辻潤さんによって紹介されたのだそうです。紹介者さんはその中から、若き苦悩を描いた一編を朗読して下さいました。自分から逃げだしたい、と語り続ける自問自答の場面は圧巻でした。


最後はこちら。


せんはうたう (詩:谷川俊太郎 絵:望月道陽)

(アマゾン取り扱いはなし、詳細は→せんはうたう | 出版物 | ゆめある舎

望月道陽さんのやわらかく繊細な線画に、谷川さんが詩をつけた作品。元々は、谷川さんの息子・賢作さんの楽譜の表紙画を望月さんに依頼していたのですが、彼はそこへ何と62点もの作品を送ってきたのだそう。「これを眠らせるのはもったいない」ということでお父さんが腕をまくり、制作に至った、という経緯があるそうです。これ、一冊一冊手作りなんですって。「フランス装」という、紙を折って重ねて糸で綴じた装丁がとても魅力的でした。函入りですが縁取りがぐるりと波状に切られているので、中の色身がちょっとだけ見えるようになっています。可愛かった…。添えられた詩はごく短いものですが、谷川さんの「とるにたらないもの」を愛でるという世界観がぎゅっとつまっています。元が楽譜用の絵ということで、音楽にまつわる詩が多いのが特徴です。また、紹介者さんのパワポを効果的に使われたプレゼンが本当に素晴らしかったです。すっかり引き込まれてしまいました。

……
一通り終わってから皆であれこれと語り合ったのですが、これがまた面白かった。それぞれの持ち場というか、嗜好が重なっているようで少しずつずれており…、といった感じで、次々に話題が広がっていくんです。話は知恵の輪みたいにつながったり離れたり、新たなリンクを築いたりしました。アートや地元トーク、図書館、建築、その他もろもろ。知らないことをたくさん教えていただき、勉強になりました。
参加された皆さま、また主宰の木村さん、本当にありがとうございました。ESqUISSEさんも!


そして、次回の開催も決まっているのだそうです!後半の話の中で木村さんがアイデアを出されていた企画、「アートルーム」も行われるのですね。(詳細はリンクからどうぞ。)
わたしもいきます!みんななかよくしてね!