静寂を待ちながら

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盆地芸人

今日から、バナナマン単独ライブが始まります。

bananaman live 2012「TURQUOISE MANIA」


8月2日(木)〜8月5日(日)
六本木 俳優座劇場


http://com.horipro.co.jp/talent/%E3%83%90%E3%83%8A%E3%83%8A%E3%83%9E%E3%83%B3/index.html

4月から「ノンストップ!」も始まり、それでなくとも多忙を極めるお二人ですが、毎年ライブを欠かさずやる姿勢は、本当に称賛に値するものです。


成功を心からお祈りしています。
観に行かれる方は、存分に楽しんでください。


さて、以前の「設楽統が見つけた居場所」というエントリで触れましたが、設楽さんは秩父盆地の出身です。


そして内村さん・バカリズム升野さんも盆地出身。
この三人には何か共通点があるように感じます。


メモ程度の考察ですが、簡単にまとめてみました。




まず、それぞれの出身地。

設楽→秩父盆地(埼玉県秩父郡長瀞
内村→人吉盆地熊本県人吉市
升野→田川盆地(福岡県田川市

彼らを育んだ、盆地の特徴。

地勢


・山に囲まれており、渓流がある
・外界からの影響を受けにくい


これらを生かした農・産業に支えられている。


秩父盆地石灰岩の採掘によるセメント産業
・人吉盆地→渓流と農耕を生かした酒造、名産品「球磨焼酎
・田川盆地→石炭採掘による大炭鉱街

狭い土地にひしめき合っての生活、ゆっくり変化する自然は、
周囲の人の癖や、緑の微細な変化に敏感になる、というような
細やかな観察眼を養うもととなるのではないでしょうか。


緻密なコントを作る3人に、共通した部分です。

気候


ひとことでいうと「熱しやすく冷めやすい」
海や大河など、気温の変動を緩やかにするものがないので、太陽の影響を直接的に受ける。


夏・昼間は熱く、冬・夜間は底冷えする。

性格的には「オン・オフ」を明快にするというような影響がありそうです。



そして、もうひとつ。

歴史、伝承など


秩父盆地:民話は、他の日本各地と同じく、農耕・自然の猛威を読み説く物語が中心。
ただ、「平将門伝説」に代表される英雄譚が多いのも特徴。


人吉盆地:1193年に相良氏により、人吉藩が作られる。それから、明治の廃藩置県実施までの長きに渡り栄えた城下町。


田川盆地:炭鉱以前は、農耕や自然・世界の生成にまつわるのんびりした民話中心。特性としては愚者譚が比較的多い。
炭鉱産業が栄えてからも、リーダーと愚者の共存などを面白おかしく綴った物語が残されている。


参考→すからぶの話 http://www2t.biglobe.ne.jp/~cjfc/hanasi.htm


英雄譚が語り継がれていたり、城下町の歴史が染み込んでいる街に住んだりすることは、ヒーロー的存在への尊敬や憧れにつながりそうです。


また愚者譚も、ある意味では「英雄」。
逆説的ですが、尊敬の対象になっています。


これらが歴史に刻まれている土地で育ったのは、それぞれの笑いや性格に影響しているのではないでしょうか。



中学時代、野球部キャプテンで生徒会長だった設楽さん。
剣道や水泳で県大会に出場しつつ、高校時代は映画同好会で活躍し、文武両道を地で行っていた内村さんは「人吉の神童」と呼ばれていました。


升野さんに至っては、




コントライブのタイトルにしてしまっています。
(ただ、これはゲームからの影響も強そうです。)


それから、2012年3月17日、「ブラマヨのゆかいな仲間たち アツアツっ!」出演の折には


「炭鉱街という、気性の荒い人が多い地域に育った、そこで体格の小さな自分はいじめの対象になりやすかった。
でも、何とか負けじと闘っていくうちにこんな性格(屈折と観察力の高さ)になった」と自己分析されていました。
「田川出身」らしい、逆説的な英雄のたたずまいです。


閉じられた空間で成長し、そこでヒーローになりながらも甘んじず、
さらに外界へ羽ばたいていった三人。


紆余曲折があったでしょうが、
「ちっちゃい沼のでっかいナマズ」たちは、その後、大きな海でも英雄になりました。


「盆地芸人」たちの活躍、これからも楽しみです。