静寂を待ちながら

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叫ベマタヨシ(又吉直樹「火花」が試みた実験)

こんにちは。毎日寒いですね。こちらは相変わらずのしがない日々です。

先日、Eテレ「オイコノミア」で、経済学者の大竹先生が、「又吉さん、今『火花』の売上はどれくらいか知っていますか…?」と電卓を叩き、ご本人とゲストの西加奈子さんに見せていました。あまりの数字に、二人とも絶句。
…野次馬根性から、あたしもつい、電卓アプリを開いてしまいました。そしてそりゃ絶句だ、と納得。

ネット配信でのドラマ化準備も、着々と進んでいるようですね。

又吉直樹『火花』がドラマ化、キャストに林遣都、浪岡一喜、門脇麦(2015.10.19)

CINRA.NET より)

外野の動きも眺めつつ、「火花」の解説もどきの続きを、のんびり書いていきます。
今日はここ。

文学としての価値
*撰択と転換の巧みさ/「急に感情を爆発させる」*1

『VOGUE』インタビューより。

又吉
「それまでは丁寧にやっていたのに、急に叫びだして感情を爆発させるようなものって、音楽では多いけれど小説にはあまりない。
お笑いでも音楽でもそういうものが個人的にも好きなので、実践してみました。」

又吉直樹が、新境地・小説『火花』で試してみたこと。

この作品内で、それが最も顕著なのはこちら。
先輩・神谷が、同棲していた彼女・真樹の部屋を出て行く場面のあとの、回想シーンだ。

*1:5月に行ったトークイベントレジュメより

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